LONESOME・隼人

朝日新聞の月曜版に歌壇が掲載されている。世界各国より在外邦人の投稿もありにぎやかである。

数年前より米国の郷隼人なる人物の作品がしばしば掲載されるようになった。作品の断片より現在殺人罪で米国内の刑務所に服役していることを知り一段と惹かれる存在となった。

先日彼の最初の歌集が出版された。綴られた獄中の暮らしと祖国への望郷の念に胸打たれるものがあったが、もっとも驚いたのが彼が歳もさほど違わぬ同郷の人であったことである。

17歳で夢を持って渡米しながら現在獄中に在ることに彼の人生に何があったのか知りたい思いもわくが一首一首からは凶悪事件とは無縁な平均的日本人の姿が浮かんでくる。

記載の中からも米の服役制度の厳しさがよくわかるが、日本と比べ「無期懲役」の意味はより重大であり獄を出れる人は少ないようである。

獄死をつづる以下の歌には胸をつかれる。

名はあらず十字架に番号あるのみの

白が寂しき囚人墓標

5月末の歌壇には次の歌が掲載されていた。

さつま富士山麓菜の花埋め尽くす

故郷忘じがたく候

帰ろうと思えば半日で帰れる南九州の地を渇望するように恋焦がれる人の居ることに、ただ単純に同情の念を禁じえない一首である。