GWは一日のみ平塚へと出かけた。競輪ではない。
市立美術館で長谷川?二郎の絵画展が開催されており代表作である「猫」を見てきた。
猫が静かに眠っているというだけの絵であるが、この猫は「ひげ」が片方しかない。
この絵を長谷川に発注した有名な美術評論家の洲之内徹が、なかなか完成しないこの絵について催促すると長谷川はこう返事したそうである。
「猫は冬は球のように丸くなるし、夏はだらりと長く伸びてしまうのでこんな恰好で寝るのは年に二回、春と秋だけなんだよ。だから書けるまで待ってよ」
それでも仕上がるまでに6年以上を要し、結局片方の「ひげ」は書き込まれず未完に終わったらしい。芸術家らしいおもしろい返事だなと思いつつ絵をじっくり見ると片方のひげを書き込めるような余裕も無いようであり未完に終わったところにこの絵の真髄はあるように思う。画家の慧眼である。
こんな作家の残した多くの絵はなんとなく整理整頓された小学校時代の理科室を思わせるような雰囲気が濃く漂っていた。
コメントを残す