裏切りのサーカス(2012年)

この作品はイギリスの小説が原作のスパイ映画です。

しかし、同じイギリスの諜報機関を舞台とする『007』シリーズのようなセクシーな美女も、派手なアクションや秘密兵器も登場しません。

そして、主人公のゲイリー・オールドマンも、何時も彼が演じる癖のある役柄ではなく、妻の浮気に悩み水泳を日課にする平凡な人物です(とは言ってもスパイ組織の元幹部なので鋭い観察眼を持っているのですが…)。

東西冷戦下、イギリス秘密情報部(通称サーカス)を引退した元幹部のジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が、組織中枢に潜り込んでいる二重スパイ”モグラ”を探るための調査を開始する…

不機嫌なロンドンの空と、それに合わせた色調が地味な印象を持たせます。

その色調も相まって、この作品は”難解”であると言われています。

確かに、派手な演出はなく、ストーリーを理解するには数回の鑑賞が必要かもしれません。そして、スルメのように「噛めば噛むほど味が出る」作品のような気がします。

秋の夜長に、じっくりと腰を据えて鑑賞するには最適な作品だと思います。

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 因みに、続編制作の話がありましたが、その後噂を聞きません。どうなったんだろう?

ディア・ハンター(1978年)

主人公たちが「ロシアンルーレット」を強いられるシーンが有名な映画です。

反戦映画であり、青春映画でもあります。

ボクがこの作品で印象に残っているのが、主人公たちのベトナム戦争出征を挟んで仲間たちが集まる二つのシーンです。

徴兵されてベトナム戦争に向かう三人の若者マイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーブン(ジョン・サヴェージ)は壮行会翌朝、仲間たちと鹿狩り(Deer hunting)へ出掛けます。その帰りに溜まり場のバーに集まってビールを飲みながら男たちが唄うのが『 Can’t Take My Eyes Off You』です。

この曲は、邦題『君の瞳に恋している』として、80年代のバブル期のディスコでの定番曲でしたが、元々はフォー・シーズンズのリードボーカリストであるフランキー・ヴァリがヒットさせたものであり、作中の彼らはオリジナルの曲に合わせて唄っています。ゆったりとした曲調に出征する者、故郷に残る者、それぞれの想いが交差します。

ベトナム戦争で、スティーブンは両足を失い、マイケルは「ロシアンルーレット」に興じるニックを救えなかった後悔の念を持って帰国します。

そして、故郷でニックの葬儀後、何時ものバーに集まった仲間たちは彼への哀悼を込めて、静かに『God Bless America』を合唱します。

『God Bless America』は“アメリカ合衆国の第二の国歌”といわれています。(愛国的な歌詞なので、反戦というメッセージからは外れるような気がするのですが)ベトナム戦争を通じてバラバラになった仲間たちが、友人の死を一緒に乗り越えていこうという希望を感じる場面です。

このシーン後にエンドロールと一緒に流れる『Cavatina』が哀愁を感じさせます。

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余談ですが、今や大女優であるメリル・ストリープの初々しい演技も見ものです。そして、この作品は、彼女の婚約者であったジョン・カザールの遺作でもあります。

レオン/完全版(1994年)

当初公開された『Léon』に、リュック・ベンソン監督が22分間の未公開シーンを加えた『完全版』がこの作品です。

大人の事情があって、やむなく不本意な編集がなされて公開された作品が、その後『デレクターズカット版』等として発表されるケースが多いようです。

そして、この作品も、その部類に入ると思われますが、未公開シーンを加えることによって全く印象が変わった作品です。

ボクは当初この作品の主人公は、タイトルに記された殺し屋レオン(ジャン・レノ)だと思っていましたが、『完全版』を視聴して、主役はナタリー・ポートマン演じるマチルダだと感じました。

ポートマンは、この作品が映画デビュー作で役柄と同じ12歳だったそうです。

今回追加されたシーンは以下の通りです。

  • マチルダが殺し屋の訓練するシーン
  • マチルダが初仕事祝杯でシャンパンを飲んで、はしゃぐシーン
  • マチルダがレオンに告白するシーン

これらのシーンが入ることで、レオンとマチルダの交流が、より濃厚なものに変化します。

そして、マチルダの儚さ、したたかさ、妖艶さが際立ちます…将来、女優として成功するポートマンの片鱗を垣間見ることが出来ます。そして、12歳だった彼女しか演じることが出来なかった奇跡を見せつけられます。

得てして、『デレクターズカット版』って、監督のエゴが出てしまうものですが、(個人的には)未公開シーンを加えた『完全版』の方が好きです。

尚、ゲイリー・オールドマン演じる敵役スタンの怪演も見ものです。彼の狂気を含んだ演技は流石です。

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